LUCKY通信 2019年6月号 不動産テックと今後の業界

不動産テックとは、「不動産」に「IT」というテクノロジーを融合させていこうというものです。英語ではReal Estate Tech と言います。簡単に言えば不動産業務である売買、賃貸や管理などにコンピューターやインターネットなどの情報技術を加えた業務ということになります。

不動産業界はどちらかといえば保守的な業界ですが、その原因は3つほどあります。一つは不動産が非常にドメスティック(国内的)な存在であるために、技術革新や海外などからの代替品に取って代わられるということが基本的にはないということ。二つには不動産取引は宅地建物取引業法で規定されていて、プレーヤーが限られていることからマーケットに対する新規参入の恐れが少ないこと。三つ目には不動産自体が他の工業製品などと異なり、一つ一つが形状や性能が異なっているため、データ化や標準化が難しいことが挙げられます。

これらの不動産ならではの特殊性に胡座(あぐら)をかき、不動産業界はこれまで情報開示に積極的ではなく、自らの権益を守ってきました。しかし、不動産証券化の流れはこうした旧来の閉鎖的な日本の不動産マーケットの慣行に風穴を開け、物件に関する情報開示が大いに求められるようになってきました。

AIの利用により、公図や地積測量図などとデータを連動させることで、土地の形状や面積は、より確実に把握できるようになるでしょうし、斜線規制や日影規制などの開発上の諸規制も設計会社に頼らずとも即座に判明するようにできる筈です。

個人情報保護の観点にも留意が必要ですが、不動産情報とマイナンバーなどのデータの接続、固定資産税の徴収、相続時の資産の把握などにも不動産テックの活用はおおいに期待されるところがあります。

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