LUCKY通信 2018年1月号 都市農地の「2022年問題」とは 

1992年の生産緑地法改正により市街化区域内の農地は、保全する「生産緑地」と宅地などに転用される農地に区分されました。生産緑地地区に指定されると、所有者は農地として管理を行うことが義務づけられ、建築物を建てるなどの行為が制限されます。一方、それ以外の農地は、宅地並みの固定資産税を課せられます。

法律では、生産緑地の指定から30年経過したとき、あるいは所有者が死亡または農業従事が出来なくなった場合に、市町村に対し買取りの申請を行うことが出来、市町村は特別な事情がない限り、時価で買い取らなければならないと定めています。しかし、財政負担が難しいという事情から、これまでに市町村が買い取るケースは殆どなかったと言われています。

1992年から30年が経過する2022年以降、一斉に買取りの申請が行われた場合、同じ理由で大部分が買い取られず、その結果、生産緑地の指定が解除されて宅地化が進む可能性が非常に高いと思われます。

しかし、既に空き家、空き地の増加が社会問題化している環境においては、宅地としての有効活用はあまり期待できず、多くの不安定な空き地が市街地の中に発生することになると考えられます。また、市町村が買い取らず、生産緑地として買うものがいない場合は、この生産緑地指定が解除されます。生産緑地が解除されると、固定資産税が宅地の1/200として減額されていたものが、軽減がなくなり固定資産税が一気に跳ね上がります。

建設会社や建売業者は、生産緑地指定解除を絶好の商機として、生産緑地所有者を虎視眈々と狙っているようです。自治体の都市農地の保全活用に対する取り組みに期待したいものです。

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